トップを取るより、トップを維持することのほうが何倍も難しい。一度トップに立つと、周囲の期待は高まり、満足できるハードルが上がるからだ。ハードルは年ごとに高くなる。今までと同じやり方では、跳び越えられなくなるんだ。代ゼミでトップを取り続けた十六年間、俺は一度も「来年もトップを取れるだろう」と安心したことはない。講師はみんなライバルだ。俺がフッと気をゆるめたり、疲れて手を抜いたりすれば、あっという間に追い越される。追う立場より、追われる立場のほうが精神的にも肉体的にも数倍キツイ。俺が有名になり人気も出てくると「有名な予備校講師の授業は、どれだけおもしろいんだろう」「人気ナンバー1の予備校講師だから、すごい授業をするに違いない」と、全国の何千人、何万人の生徒が俺に注目する。ものすごいプレッシャーだ。俺はいつも、「来年はトップを取れないかもしれない。誰かに抜かされるんじゃないか」って不安と戦っていたんだ。